Macで制作されたDTPデータをWindows PCでコピー・移動すると、添付フォントが破損してしまうことがあります。わりと古典的なデータ入稿のトラブルなのですが、その原因と対策をご紹介します。
最も多いフォント破損のパターン(?)
DTP入稿データに添付されたフォントをインストールしてもうまく行かず、よくよく見てみるとフォントのサイズが0KBになっている、ということがあります。
古いフォントデータをやりとりする際、その経路にWindowsやLinuxなどMac OS以外のOSで動作するコンピュータが介在すると、こんな風に壊れてしまいます。その原因はMac OS特有のファイル構造にあります。
Mac OSのファイル構造
Mac OSのファイルは、データフォークとリソースフォークの2つで構成されています。データフォークにはファイルのデータ本体を保存し、リソースフォークにはファイルのアイコンなど、そのファイルに関する付加情報を保存するようになっています [1] 。
このうちリソースフォークはMac OS固有のデータ構造です。そのためMac以外のOSやファイルシステムに転送・保存すると欠落してしまいます。
リソースフォークが欠落するとフォントが壊れる
通常のデータであれば、データの本体はデータフォークの中に収められているので、リソースフォークが欠落してもデータを利用するのにさほど支障は出ないことが多いのですが…
Mac用のType1フォントやTrueTypeフォントの場合はリソースフォークの中にフォントデータ全体が収納されているため、リソースフォークの欠落が致命的なデータ破損に直結します。
このようにリソースフォークはデータ交換の際トラブルを引き起こしやすいため、現在の各種データフォーマットでは使用が極力控えられています。フォントでもデータフォークTrueTypeやOpenTypeフォントといった新しいフォーマットでは、フォントデータの実体がデータフォークに集約されているため、リソースフォークが欠落しても問題なく使えるようになっています。
破損しにくいフォントフォーマットが浸透してかなりの年月が経ちますが、特に欧文フォントを中心にType1フォントなどの古いフォントを使い続けているユーザーはまだまだ多いし、過去のデータを再利用する際にはどうしても古いフォントフォーマットとつきあわざるを得ません。ですから、リソースフォーク欠落が原因のトラブルも意外と減ってこない…というのが実情です。
対策
どのようにすれば安全にDTPデータをやりとりできるのかですが、わりあい簡単に
Macで作ったDTPデータ(とりわけフォント)は、Macで圧縮してから転送・入稿
することが、現実的な対策ではないかと思います。Mac標準のzipやstuffitなどMacでポピュラーな圧縮ツールは、リソースフォークを含んだ状態で圧縮してくれます。
- リソースフォークについての詳しい解説はこちらをご覧ください。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%AF [↩]